研究課題
不規則な変動環境において、重複した遺伝子は保持され、重複遺伝子数が増大する方向に進化するという予測を検証するために、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いて、進化実験を行うことを目的とした。進化実験を行う実験条件を設定するために、3つの環境要因(pH,アルコール濃度、塩分濃度)の変化に対するS. cerevisiaeの増殖率の変化を調べた。その結果をもとに、環境変動させる変動幅を決定した。培養条件として、コントロール (最適培養条件)、3つの環境要因の繁殖・植え継ぎ可能な最低条件、最低条件の中をランダム変動(10世代ごと)、ランダム環境条件変動(変動幅大、10世代ごと)、ランダム環境条件変動(変動幅小、10世代ごと)、 最低条件の中をランダム変動(20世代ごと)、ランダム環境条件変動(変動幅大、20世代ごと)、ランダム環境条件変動(変動幅小、20世代ごと)の8つの条件を設定した。また、使用する株は変異率の高いRAS27株と通常株(X2180-1B)にUVする株を用いて、それぞれ6レプリケート準備し、実験を開始した。現在約400世代で、0世代目と300世代目のサンプルを次世代シークエンサーにかける準備を進めている。
2: おおむね順調に進展している
予定どおり、実験条件を設定し、進化実験を開始することができた。現在400世代で、27年度中に1000世代に達成し、ゲノム解析を行うことが可能である
1000世代、経代した時点で実験は終了する。100世代ごとに保存してあるサンプルを次世代シークエンサーillumina HighSeqを利用して、全酵母個体の配列を解読する。読まれた断片をre-sequenceし、全個体の全ゲノム配列を決定する。ゲノム中の遺伝子のうち、重複遺伝子の数を調べ、ゲノム内の遺伝子重複率を推定する。各培養条件と遺伝子重複率との関係を調べ、変動環境によって重複遺伝子は維持されるか?ゲノム内に多く重複遺伝子をもつことで、変動環境により適応することができるか、という仮説を検証する。
今年度の研究を効率的に推進したことによる未使用額である。
平成27年度請求額と合わせ、実験に使用する消耗品などに使用する
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Molecular Biology and Evolution
巻: 31 ページ: 1779-1786
doi: 10.1093/molbev/msu128
Nature Genetics
巻: 46 ページ: 1081-1088
doi:10.1038/ng.3077