研究課題/領域番号 |
26650155
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 健太 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80512467)
|
研究分担者 |
金岡 雅浩 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10467277)
小林 元 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (40325494)
瀬々 潤 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 研究員 (40361539)
平井 優美 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (90415274)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 母性効果 / 母性環境効果 / 適応的継代効果 / 移植実験 / 継代ホームサイトアドバンテージ / ミヤマハタザオ |
研究実績の概要 |
温暖地と寒冷地に由来するミヤマハタザオの5系統を、温暖な大津、寒冷なチューリッヒ、寒冷な菅平、特に寒冷な西駒に移植し、その後の成長と生存を追跡している。その結果、由来地の気候と似ている圃場で生存率が高いというホームサイトアドバンテージが観察されている。また、大津とチューリッヒでは、野外移植後に得られた種子を移植地を交換して再移植する実験も開始し、実験開始後の生存・成長・繁殖の一年間の追跡データが得られたのでその解析を継続している。母親の生育地によってホームサイトアドバンテージが変わるという、「母親生育地による継代的ホームサイトアドバンテージ」があれば、遺伝的な変異だけではなく、エピジェネティクスな変異が継代的な環境適応を左右していることを示唆することができる。 一方、継代的ホームサイトアドバンテージがDNAメチル化と関連していることを直接的に示す実験系として、5-アザシチジンによる脱メチル化処理を行った種子とそうでない種子を圃場間で移植する実験系の確立が計画されており、その実施のために発芽条件の検討を行った。様々な系統を用いて、与えられた発芽条件の下での毎週の新規発芽を追跡観察して、吸水、冷湿、暗黒条件で多くの系統である程度の発芽率が見られる。種皮剥ぎ等によって発芽率を高めることは効果が上がっていない。これらの系統の中から、比較的発芽率が良い系統を脱メチル化処理の予備実験の対象として選定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異なる圃場を経験した種子の移植実験を、計画を一年前倒しして開始することができ、ホームサイトアドバンテージを検証できた。また、母親生育地による継代的ホームサイトアドバンテージがあるかどうかを解析中であり、移植実験は順調に成果が出ている。一方で、5-アザシチジンによる脱メチル化処理の最適化・効率検証は完了していないが、そのための発芽条件の検討や予備実験対象系統の選定が進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
母親生育地による継代的ホームサイトアドバンテージの解析を完了させる。移植実験を継続し、ホームサイトアドバンテージ、母親生育地による継代的ホームサイトアドバンテージのいずれについても、検証のためのデータを一層充実させる。一方で、脱メチル化処理を行った種子とそうでない種子の新規移植の計画は変更し、そのような実験系を確立させることを目的として、5-アザシチジンによる脱メチル化処理の強度を変えて発芽や実生形態に与える影響や、脱メチル化の効率を確認する作業を続ける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
脱メチル化処理を行った種子とそうでない種子の実験系を確立させることを目的として、5-アザシチジンによる脱メチル化処理の強度を変えて発芽や実生形態に与える影響や、脱メチル化の効率を確認する作業が終了しておらず、継続の必要があるため。
|
次年度使用額の使用計画 |
脱メチル化処理を行った種子とそうでない種子の実験系を確立させることを目的として、発芽率が良いことを確認して選定した系統を対象に、5-アザシチジンによる脱メチル化処理の強度を変えて発芽や実生形態に与える影響や、脱メチル化の効率を確認する作業を行う。
|