日本列島のオオシロカゲロウは両性集団と雌性集団が地理的モザイク状に分布する、ユニークな地理的単為生殖種である。本種に注目し、大陸の両性集団も対象とした系統進化学的解析を実施した(ミトコンドリア遺伝子と核遺伝子のそれぞれ複数の領域を解析)。 この結果、日本列島の系統は短系統であり、地史の影響を強く受けた遺伝構造をもち、単為生殖系統は比較的最近に、西日本から起源したことを明らかにした。加えて、同所的に両系統が混生する集団において、系統間の遺伝子流動が生じていないことも明らかにした。 現在進行形で雌性集団化しつつある集団に注目した分子マーカーを用いた「性比シフト」プロセス解析に関しても重要な知見を得た。
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