研究課題
本研究では、地球表面積の7割を占める海洋の底のさらに下に広がる海底下地層に生息する微生物を研究のターゲットとする。生命生存の極限に位置する環境を対象とし、現場を特徴付ける環境条件を遺伝子の誘導因子、すなわちアクセスの扉とし、機能を特定することが著しく困難な遺伝子の機能探索を実施することを目的とした。具体的には微生物の代謝基質となりうる物質を用いて遺伝子のスイッチがONとなるような遺伝子発現誘導を行い、膨大な環境中の遺伝子断片から発現が起こった遺伝子断片を効率的に取り出すことの出来る機能遺伝子発現解析(SIGEX:Substrate Induced Gene Expression)を応用する。平成27年度には平成26年度に作成したクローンライブラリーについて、緑色蛍光を発しないクローンを高速ソーティングすることでDNA断片が挿入されたクローンのみで構成される基質誘導ライブラリーを構築した。このライブラリーについて、レアメタル、D-アミノ酸や、水素、酢酸、メタンなどを誘導基質とした培養を実施し、緑色蛍光を誘導した。誘導によって緑色蛍光を発するようになった大腸菌クローンのみをベックマン社製のMoflo XDPによって高速かつ純度高くソーティングし、選択的に取得した。各クローンについては、再度培養及び基質誘導をそれぞれに行い、誘導が安定して起こっていることを確認し、一部については挿入断片の配列解析を実施した。
3: やや遅れている
研究計画の基質誘導実験でTOPO化ベクターの発注を平成27年度に予定したが、受注生産が中止され、受託担当者の退職により実現する見込みがなくなった。代替手段による受託生産が昨年末に完了したが、その後実施する予定であった基質誘導が実施できず、研究期間の延長を申請した。
平成28年度には代替手段による新規SIGEXライブラリーの作成及び誘導実験を行い、基質誘導クローンを得る。
研究計画の基質誘導実験でTOPO化ベクターの発注を平成27年度に予定したが、受注生産が中止され、受託担当者の退職により実現する見込みがなくなった。代替手段による受託生産が昨年末に完了したが、その後実施する予定であった基質誘導が実施できず未使用額が生じた。
代替手段によるSIGEXライブラリーの作成及び誘導実験、成果の発表を平成28年度に行うこととし、遺伝子組み換え試薬などの消耗品の購入および学会参加費等に充てることとしたい。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Frontiers in Microbiology
巻: 6 ページ: 1554
10.3389/fmicb.2015.01554
SCIENCE/AAAS/
巻: 349 ページ: 420-424
10.1126/science.aaa6882