化石霊長類と現生分類群との類縁関係の推定は常に困難をともなう。その主な原因の一つは、同じ分類群でも時代を経てサイズが変わることである。そのサイズ差異にともなう形状変異(アロメトリー)の効果が、現生種と化石種の形態学的特徴の直接比較の妨げになる。本研究では、現生のマカクザルとヒヒ類を材料に、幾何学的形態分析を用いて、アロメトリー効果を除去した形状変異を分析し、その抽出された形状変異のみを三次元的表面形状に可視化する手法を開発した。この手法により、アロメトリー効果に妨げられることなく、化石種と現生種との形状特徴を直接比較することができるようになった。
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