• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

熱中症危険度予測の分子戦略―暑熱順化の分子機構解明とその応用―

研究課題

研究課題/領域番号 26650173
研究機関金沢大学

研究代表者

杉本 直俊  金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)

研究分担者 紫藤 治  島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード熱中症 / 温度センサー / 水チャネル / 神経新生
研究実績の概要

近年、気温の上昇により熱中症発病者が急増し、特に熱中症高齢者の増加が特記される。熱中症の予防として適度な水分と塩分の補給が推奨されているが、口渇感や暑さへの感受性が弱い高齢者にとってはその実施が難しい。根本的な熱中症予防は暑さに身体を慣らす、つまり暑熱順化と考えられる。しかし暑熱順化の分子機構の解明はほとんど進んでいないのが現状である。
本研究は暑熱順化の分子機構を解明し、“熱中症のなり易さ・なり難さ”を予測する生物学的分子指標を探索することにある。
平成27年度はまず、(1)細胞で熱を感受する温度センサー、TRPファミリーを中心に検討を行った。TRPファミリーは感受する温度に違いがあることが知られている。そのため、どのTRPファミリーが暑熱順化の際に関与するのか興味が持たれた。上記と同時に(2)細胞内への水の取り込みを制御する水チャネルについても検討を行った。水チャネルは細胞膜の水の透過性を亢進させるが、病的なときは浮腫を招き、からだにとっては不都合となるときがある。次に、(3)高齢ラットの暑熱順化による脳内変化について検討した。
(1)暑熱順化により、42℃以上で反応する熱センサーTRPV1の発現が減少することを明らかにした。一方、27‐34℃の熱に反応するTRPV4の発現には暑熱順化が関与しなかった。このことは、熱、特に侵襲的な熱に対する過度の反応を抑制する機能の表れであると推察された。
(2)細菌性の食中毒は気温が温かくなったころに発生のピークがある。腸管出血性大腸菌食中毒模倣下ではエンドトキシンが作用することで水チャネルの発現亢進が観察された。また、熱刺激単独でも同様に水チャネルの発現が亢進した。これが脳症(脳浮腫)の原因であると推察された。
(3)高齢ラットは幼若ラットに比べ、暑熱順化による脳内での神経新生において劣っていることを明らかにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The critical role of lipopolysaccharide in the upregulation of aquaporin 4 in glial cells treated with Shiga toxin.2015

    • 著者名/発表者名
      Sugimoto N, Leu H, Inoue N, Shimizu M, Toma T, Kuroda M, Saito T, Wada T, Yachie A.
    • 雑誌名

      J Biomed Sci.

      巻: 22 ページ: 78

    • DOI

      doi: 10.1186/s12929-015-0184-5.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] β-amyloid infusion into lateral ventricle alters behavioral thermoregulation and attenuates acquired heat tolerance in rats2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki K, Katakura M, Sugimoto N, Hara T, Hashimoto M, Shido O.
    • 雑誌名

      Temperature

      巻: 2 ページ: 418-424

    • DOI

      DOI:10.1080/23328940.2015.1044635

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Involvement of neurogenesis in the hypothalamic area in establishing long-term heat acclimation in rats2015

    • 著者名/発表者名
      Shido O, Matsuzaki K
    • 雑誌名

      Temperature

      巻: 2 ページ: 362-367

    • DOI

      DOI:10.1080/23328940.2015.1076591

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Aging attenuates acquired heat tolerance and hypothalamic neurogenesis in rats.2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki K, Katakura M, Inoue T, Hara T, Hashimoto M, Shido O.
    • 雑誌名

      J Comp Neurol.

      巻: 523 ページ: 1190-1201

    • DOI

      doi: 10.1002/cne.23732.

  • [学会発表] 東アジア諸国の高齢者対策-生活と労働-2016

    • 著者名/発表者名
      杉本直俊
    • 学会等名
      第三回 「食と環境、そして高齢化を考える研究会」
    • 発表場所
      石川県金沢市
    • 年月日
      2016-03-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 温度センサーによる暑さの“鈍感さ”の獲得2015

    • 著者名/発表者名
      杉本直俊、松崎健太郎、片倉賢紀、紫藤 治
    • 学会等名
      第54回日本生気象学界大会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      2015-11-05 – 2015-11-06
  • [学会発表] 暑熱順化と細胞の温度センサーについて2015

    • 著者名/発表者名
      杉本直俊
    • 学会等名
      運動と体温の研究会
    • 発表場所
      和歌山県和歌山市
    • 年月日
      2015-09-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi