研究課題
出生体重1000g未満の早産児においては、ADHD(注意欠陥・多動性障害)が25%、知的障害を伴わないPDD(広汎性発達障害)が7%、LD(学習障害)が20%という発達障害の発症率が報告されている。これは文部科学省が2003年に発表した一般新生児の発達障害の割合 (ADHD2.5%、知的障害を伴わないPDD0.9%、LD 4.5%)に比べ、早産児が2~10倍も高い結果である。特に早産児の多動性に関しては、近年早産児118万人を対象とした大規模コホート研究がスウェーデンで行われた。この報告によれば、満期産児に比べ、在胎22~28週で出生した早産児のADHD発症率は約2倍となり、ADHDの発症に人工保育という出生後の環境要因が関係することが明らかになった。本研究では、ADHDハイリスク群と予想される出生体重1500g未満の早産児と満期産児を対象に、体動計システムを用いて1歳半における活動・睡眠を評価することにより、対象児の多動性、及び睡眠障害の状態を明らかにする。本研究により、発達障害の診断が可能となる3歳以前にADHDハイリスク群の特定が可能となり、早期療育トレーニングや母親への支援に結びつけることが可能となる。昨年度は、予定通り、体動計システムを用いて1歳半における活動・睡眠評価を開始した。同時に対象児の母親に対しても調査票を用いてメンタルヘルス評価を開始した。本年度は、初年度に開始した臨床研究計画を継続するとともに、24時間の活動量測定によりハイリスクと判断された早産児群の多動性・睡眠構造の解析を開始する。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、これまでに体動計システムを用いて1歳半における活動・睡眠評価および対象児の母親に対しても調査票を用いてメンタルヘルスの評価を継続している。
本年度も、体動計システムを用いて1歳半における活動・睡眠評価を継続する。同時に対象児の母親に対しても調査票を用いてメンタルヘルス評価も継続する。加えて、24時間の活動量測定によりハイリスクと判断された早産児群の多動性・睡眠構造の解析を継続する。
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精神療法
巻: 41 ページ: 847-855
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