研究課題/領域番号 |
26660010
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田中 淳一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 主任研究員 (30370571)
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研究分担者 |
石井 卓朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 上席研究員 (30442750)
米丸 淳一 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センターイネゲノム育種研究ユニット, 主任研究員 (40355227)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子内組換え / 遺伝的組換え / 組換え自殖系統 / 次世代シーケンシング / 循環選抜 |
研究実績の概要 |
九州大学において作成された日本型イネ‘あそみのり’とインド型イネ‘IR24’の組換え自殖系統10系統を実験に供試した。これら材料についてSNPアレイ解析によって大まかなグラフ遺伝子型を推定した後、それらのゲノムの配列を次世代シーケンシング技術により解析し、日本型イネ‘日本晴’との間でSNPを抽出した。各RILのSNPが「IR24型」と「あそみのり型」とが切り替わる位置が遺伝的組換えの推定される位置であるが、「IR24型」の方がはるかに高密度なので、「IR24型」のSNPが途切れる位置を遺伝的組換えの位置とした。 ‘IR24’と‘日本晴’間では2,227,332のSNPが検出され、これは平均すると168塩基に1つのSNPが検出されたことになり、このSNP頻度が組換えポイント推定の“解像度”に相当することになる。遺伝的組換えが生じたと推定されるSNP間の中間を組換えポイントと仮定して、その位置を‘日本晴’の配列データ(RAP-DB)に照合した結果、約1/4の遺伝的組換えがイントロンを含む遺伝子内で生じたと想定された。 1/4もの遺伝的組換えが遺伝子内で生じているであろうことは、遺伝的組換えがセントロメア近くなどの遺伝子が“疎”な領域よりも、染色体末端のような遺伝子が“密”な領域で生じやすいことを反映していると考察された。生じたキメラ遺伝子のうちどの程度が機能的に新たな表現型に結びつくのかは推測の域を出ないが、解析の対象とした材料のような、遺伝的に遠縁な材料を大集団で繰返し他殖させた場合、タイプの異なるゲノム間での遺伝的組換えにより、多数のキメラ遺伝子が生成しているはずである。トウモロコシのイリノイ実験などのように、他殖を繰返すことで集団内から継続的に変異が生じ得る一つのメカニズムであろうと考察された。 これらの成果は2015年の春の育種学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子内組換えの頻度が多くの研究者の想像よりも遥かに大きいことを明らかにすることができた。学会での発表も反響が大きく、研究そのものは順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション等の研究も進めている。また、遺伝的組換えが生じたことにより表現型が変化した事例を検索している。研究の進展により、データをとりまとめた後、研究論文として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存データの活用が有効であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画通り。
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