大学内の実験水田に地下潅漑システム(FOEAS)を設置した圃場と隣接した慣行圃場で水稲「ななつぼし」を栽培し、生育期間中の水温と地温、ならびに生育と収量を検討した。水稲の障害型冷害危険期である7月中下旬の日平均水温(水位10 cm)は、FOEAS区の方が慣行区よりも1.1℃高かった。地温も、深さ10 cmで0.4℃、20 cmで0.7℃、それぞれFOEAS区の方が高かった。乾物増加量はFOEAS区の方が勝った。これらの結果から、寒冷な北海道の水稲栽培において、FOEASを設置した圃場で地下から潅漑すると、幼穂形成期から出穂期の期間の水温と地温が上昇するので、冷害軽減の効果を期待できると考えた。
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