研究課題/領域番号 |
26660013
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
平沢 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30015119)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 作物学 / 植物生理学 / ゲノム |
研究実績の概要 |
日本型水稲品種コシヒカリの対立遺伝子が、イネ品種の中で最高の光合成能力を示す1つである多収性インド型品種タカナリを遺伝背景とするイネの葉の光合成速度をさらに高める5つの遺伝子座(第1染色体に座上するqHP1aとqHP1b、第3染色体に座上するqHP3、第7染色体に座上するqHP7aとqHP7b)のうち、本年度はqHP1bとqHP7aを集積した準同質系統NIL(1b+7b)、qHP7aとqHP7aを集積した準同質系統NIL(7a+7b)の光合成速度、乾物生産特性、子実収量を比較した。 NIL(1b+7b)は,光合成速度を高める遺伝子座を一つもつ両親(NIL1b、NIL7b)に比較して、穂ぞろい期の止葉の光合成速度がさらに有意に高くなり,明らかなQTLの集積効果が認められた。しかし、NIL(1b+7b)は両親の性質を併せもち、タカナリに比べて出穂日が早い、個体群受光態勢と密接な関係のある葉身傾斜角度が小さい、登熟期の葉面積指数が小さいことなどによって、収穫期乾物重と子実収量はタカナリを有意に上回ることはなかった。 NIL(7a+7b)は,光合成速度を高める遺伝子座を一つもつ両親(NIL7a、NIL7b)に比較して、穂ぞろい期の止葉の光合成速度がさらに有意に高くなり,明らかなQTLの集積効果が認められた。NIL(7a+7b) も両親の性質を併せもち、タカナリと比較して、幼穂形成期から穂ぞろい期の間のCGRが大きい傾向があったにも関わらず、出穂期が早いことによって穂ぞろい期の乾物重が小さかった。そのため登熟期はNARが高く,CGRも高かったが,収穫期の乾物重はタカナリを上回ることはなかった。収量は収穫指数が大きいことによってタカナリを上回った。 タカナリを遺伝背景とするイネの葉の光合成速度を高めるコシヒカリの対立遺伝子5つすべてを集積する系統の育成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タカナリを遺伝背景とするイネの葉の光合成速度を高めるコシヒカリの対立遺伝子を4つから5つに増やし、2つの遺伝子座をもつすべての組合せ系統の育成を完了した。併せて、5つの遺伝子座を集積する系統の育成を進めた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
タカナリを遺伝背景とするイネの葉の光合成速度を高めるコシヒカリの対立遺伝子5つのうち、2つの遺伝子座をもつすべての組合せ系統の作出を完了したので、これらについて、光合成速度、光合成に関わる生理的性質を明らかにし、乾物生産と子実収量の高い集積系統を見出す。併せて、5つの遺伝子座を集積する系統の育成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は本年度よりもさらに多くの光合成測定を予定している。このための物品費と人件費を計上するために、本年度予算の一部を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費:1,157,416円、旅費:350,000円、人件費・謝金:300,000円、その他:150,000円
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