研究実績の概要 |
穂木をキュウリ、台木をカボチャとする種子内接ぎ木の実験を行った。実体顕微鏡下でキュウリ種子の幼芽部位を加工した注射針で摘出し、MS培地上で無菌的に培養したところ、植物体へのと成長したことから、茎頂摘出片を台木カボチャ茎頂摘出跡へ置き換える手法を試みた。 すなわち、自作の専用メスを使用し、カボチャの種皮の一部を剥ぎ、さらに上部側の子葉組織を切除したところ、約0.7 mm長の頂芽が観られた。この頂芽を加工注射針にて切除して、その切除跡に、キュウリ種子幼芽部の摘出組織片を静置または両端を極微量の接着剤などを使用して納めた。その後に、切除した子葉片と種皮を元の部位に戻して、サージカルテープで固定した。施術種子を発芽・生育させたところ、50個体に3個体ほどには無処理にはやや遅れるものの、生育が観られたため、さらに鉢にて生育させたところ、正常な発育が認められた。これらの葉の形態はキュウリと思われたことから、DNA判定を行ったところ、カボチャの葉と判定された。このように,カボチャおよびキュウリの幼芽組織片の摘出は容易であるが、キュウリ幼芽組織片をカボチャの幼芽部切除跡に接ぎ木面が揃うように納めることが難しかった。 そこで、カボチャ種子を縦に開いて、幼芽部が残されている側の幼根上部をカミソリ刃で直線の切れ目を入れ、幼芽を含む組織を切除した。その切断面にキュウリの幼芽部を含む子葉の下部でカットした子葉の切断面を密着し、その両端を微量接着剤にて固定を試み、施術カボチャは切除した種皮を元の位置に戻してサージカルテープで固定した結果、発芽施術種子はカボチャとキュウリの両子葉が生育して、キュウリの子葉基部から幼芽が生育して、本葉を展開した。このように、ハイブリッド子葉種子を作製することで、キュウリとカボチャ間で種子内接ぎ木体を生育させることができた。
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