研究課題/領域番号 |
26660019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金山 喜則 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10233868)
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研究分担者 |
渡部 敏裕 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60360939)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 園芸作物 |
研究実績の概要 |
園芸作物においては糖度やビタミン、機能性成分の改善に関する研究は盛んに行われているが、ミネラルに関する栄養強化(Biofortification:生物的手法、特に遺伝・育種学的手法によってヒトの必須元素の含量の増進を図ること)に関する研究は少ない。現在、日本においてはカロリー摂取量は十分でもいくつかのミネラル摂取量が標準を下回ることが知られており、また、世界的にも隠れた飢餓の要因としてミネラル不足が取りざたされている。このような背景において、園芸学でイオノミクス(生物のイオンないしは元素の総体をイオノームと呼び、包括的に解析、評価する科学)を取り入れ、果樹や果菜類を利用したミネラルに関する栄養機能強化に貢献する萌芽的研究をおこなった。具体的には果実作物を対象として、測定可能な元素の含量を網羅的に測定することによって部位別イオノームを明らかにし、栄養強化に資するデータを得ることができた。すなわち、主要な果樹と一部果菜類の果実と栄養器官を材料として、果実においてはさらに果肉と皮、栄養器官においては葉等をサンプリングして、乾燥後、粉砕し、ICP-MSによって分析をおこなった。各元素について、乾燥重量当たりの含量を種や品種ごとに示すとともに、不足が指摘され、ヒトの栄養強化において特に重要な元素である鉄や亜鉛、コバルト、カルシウム、マグネシウム、セレンについては元素間の相関、葉に対する果実における含量の比、器官ごとの含量の分散分析等の解析の結果、いくつかの元素の蓄積において、器官特異性や、分配の種特異性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、平成26年度においては果樹の分析を、平成27年度においては果菜類の分析をおこなう予定であったが、分析が予想以上に順調に進んだため、平成27年度に予定していた項目である果菜類の分析の一部を前倒しで実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引続き平成26年度と同様な方法によって、残りの果菜類の果実と栄養器官を材料として、イオノーム分析を行う。対象元素も、不足が指摘され、ヒトの栄養強化において重要なものや毒性および放射性物質の拡散において重要なものであり、各元素含量の相関や器官比などの解析をおこない、イオノームの器官や種特異性を明らかにしていく。得られた成果は適宜とりまとめて発表する。
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