ニホンナシのみつ症は果肉が水浸状を呈する深刻な生理障害であり、その原因解明が急務となっている。そこで本研究では、‘みつ症が激しく発症する豊水’の四倍体を用いて、みつ症発症の原因となる遺伝子の探索を行った。マイクロアレイ解析の結果、四倍体では二倍体と比較し、みつ症発症前に細胞壁構成成分の代謝に関わる遺伝子や果実の成熟や老化に関わる遺伝子の強い発現を確認した。さらに詳細な発現解析を行ったところ、糖代謝に関わる2種類の遺伝子の発現量が、みつ症の発症前に四倍体果実において上昇することを確認した。これらの結果より、細胞壁や細胞質に存在する糖代謝に関連する遺伝子がみつ症の発症に強く関連すると考察した。
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