カキ果実内でのタンニン細胞の分化・発達過程に関する基本的な知見を得るため、開花期のカキ子房を観察したところ、タンニン細胞はヘタ片と子房の接合部位から、小さなタンニン細胞が維管束に沿って子房中に向かって大きくなりながら分布していく過程が観察された。また、開花前の子房が未発達の段階では、まず花床部にタンニン細胞が分布していた。さらに、ゼラチンと蛍光色素を組み合わせた蛍光染色剤の有効性を調査したところ、切片を固定・作製する方法の工夫により、タンニン局在性の解析に使用できる可能性が示唆された。なお、カキのプロアントシアニジン合成に関与すると考えられる遺伝子は果実発育の初期に高い発現が認められた。
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