セイヨウナシは樹に着生した状態では成熟が進行せず、収穫後の追熟により完熟する。この樹上完熟の阻害には、果実の成熟を阻害する物質が樹体に存在し、果実に供給されるtreeファクターが関与することが示唆されている。本研究では、このtreeファクターを遺伝子的、物質的に解明することを目的に、収穫前のセイヨウナシ果梗の環状剥皮により、ソースからの物質輸送を阻害し、1週間後の果実のトランスクリプトーム解析、メタボローム解析を行った。無処理の果実と比較した結果、43遺伝子と24の一次代謝物の発現に有意な差が認められ、これらの遺伝子、一次代謝物がセイヨウナシの樹上完熟の阻害に関与している可能性が示唆された。
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