研究課題/領域番号 |
26660028
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
執行 正義 山口大学, 農学部, 教授 (40314827)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 赤色LED / 青色LED / 光合成有効光量子束密度 / フォトトロピン変異株 / 赤青同時照射 / 赤青交互照射 / シロイヌナズナ / R/B比 |
研究実績の概要 |
0.シロイヌナズナにおけるShigyo法の最適化 ‘コロンビア’の種子を育苗床へ播種し,恒温・恒湿室(25℃,RH50%)内の蛍光灯(12時間日長)で11日間育苗後,同室内に設置した小型人工気象器に移動させ,LED光源下で21日間栽培した.栽培光源は赤色LED(波長ピーク:660nm)と青色LED(波長ピーク:450nm)を使用し,同時照射を行った.明期および暗期は各12時間とし,光合成有効光量子束密度(PPFD)を120μmol・m-2・s-1に設定した.R/B比の異なる7処理区(4:1,3:1,2:1,1:1,1:2,1:3,1:4)を設け,対照区に蛍光灯(12時間明期)を使用した.照射終了後,植物体を採取し,新鮮重,乾物重,乾物率,本葉数,主茎長,葉身長,葉幅長および葉柄長について調査した.その結果,R/B比が3:1の時に最も生育が促進されることがわかり,最適な光条件が明らかにされた. 1.Shigyo法下における赤色光受容体,青色光受容体の欠失株の応答に関する解析 フォトトロピン二重変異株‘phot1 phot2’および野生株をそれぞれ育苗床へ播種した後,7日間蛍光灯下において発芽・生育させた幼苗を恒温・恒湿室内(25℃, RH50%)に設置した人工気象器に移して21日間栽培した.赤色LED(660nm)と青色LED(450nm)を単独で用いた処理区では,PPFD 60 μmol m-2 s-1となるようにし,両者を併用した区では,赤青比を1:1に調整してPPFD 60μmol m-2 s-1となるようにした.照射終了後,植物体を採取し,新鮮重について調査した.その結果,蛍光灯対照区での変異株の生育は野生株に比べて劣っており、同様な現象が青色区でもみられた。また,赤色区では,両者の違いは明確にあらわれなかった.赤青同時照射(12時間日長)区では,野生株の生育は著しく向上したが,変異株については赤色区とほぼ同程度であった.また,赤青12時間交互照射区では,変異株のみならず野生株においても著しい生育遅延がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
0.シロイヌナズナにおけるShigyo法の最適化:100%(理由)予想以上にLED下でのシロイヌナズナ栽培が困難で時間を要したが,最終的に同植物種の生育に最適な光環境条件を見出すことができた. 1.Shigyo法下における赤色光受容体,青色光受容体の欠失株の応答に関する解析:60%(理由)小課題0の進捗に遅延が生じたため、最適なLED照射条件(R/B比=3:1)による赤青12時間交互照射区の実験ができていない.一方で, R/B比を1:1として行った予備実験の結果,本植物種は青色光を好まない性質がみられ,青色LEDから放出される光エネルギーをストレスとして受け取っている可能性が示唆された.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」のところで示したように,‘1.Shigyo法下における赤色光受容体,青色光受容体の欠失株の応答に関する解析’において達成度が低くなっている。そこで,本小課題について,以下に今後の対応策を示す. 1.Shigyo法下における赤色光受容体,青色光受容体の欠失株の応答に関する解析:60%(対応策):シロイヌナズナ用に最適化された光環境条件を早急に赤青交互照射の実験に適用し,遅れを取り戻すように心がけたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
光環境条件の最適化に手間がかかり,思うように試験栽培の系を回せなかったので,試薬・消耗品代を来年度へ保留したため.
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次年度使用額の使用計画 |
この度の努力で光環境条件の最適化がなされ,今後は加速的に試験系を稼動させる必要がある.したがって,繰り越した助成金の使用は滞りなく執行される予定である.
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