研究課題
(1)カモジグサうどんこ病菌(Ah-1)は増殖が難しいので、これとコムギうどんこ病菌(Th-1)を交配し、Ppm10(カモジグサうどんこ病菌のコムギに対する非病原力遺伝子)を保有し、かつ1粒系コムギ Triticum urartu (Urr) の上で旺盛に増殖するF1菌系 AT-100 を得た。この菌系をUrr上で培養して胞子を回収し、DNAを抽出したが、サザン解析に十分な量のDNAは得られなかった。現在、大量抽出の方法を検討している。(2)オオムギの各種いもち病菌に対する抵抗性遺伝子Rmo2をクローニングするため、連鎖マーカーを用いて当該領域のBACクローンを選抜した。これらのクローンを整列化し、塩基配列を解読したところ、候補領域を 80kb まで絞り込むことができた。一方、候補遺伝子を遺伝学的に1遺伝子に絞り込むため、抵抗性品種Russian 81 x感受性品種Nigrateの Rmo2座ヘテロ個体由来F3 5000個体を播種し、Rmo2を挟み込む分子マーカーで recombinantを選抜した。その結果、約20個体のrecombinantが得られた。現在これらの次代種子をとるべく、温室で育成しているところである。
2: おおむね順調に進展している
第一項目は、サザン解析に必要な量のDNAをうどんこ病菌から抽出するのが難しく、やや遅れているが、第二項目は順調に進み、recombinantの種子がとれる9月には、候補遺伝子をほぼ推定できる予定である。したがって、全体としては順調に進展していると考える。
第一項目に関しては、サザン解析に十分な量のDNAを抽出し、これを用いてPWT4がうどんこ病菌に存在するかどうかを検定する。第二項目に関しては、次の2点を検討する。(1)候補領域80kbの塩基配列が明らかとなったが、これは感受性品種 Morexのものである。そこで、抵抗性品種 Russian No.81の当該領域が同じ構造をしているかどうかを、PCRで調べる。挿入等があることが示唆されたら、その領域をシークエンスする。(2)得られたシークエンスから抵抗性遺伝子を予測する。(3)recombinantの種子を5月に収穫し、休眠がきれた9月からinfection assayに供する。その結果をもとに分離分析を行い、候補遺伝子を絞り込む。絞り込みができたら、それらの遺伝子の破壊を試みる。
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