研究課題
青枯病菌OE1-1株は、メチルエステル転移酵素PhcBタンパク質によってクオラムセンシング(QS)シグナルであるmethyl 3-hydroxymyristate(3-OH MAME)を産生し, QSを起動する。その結果、転写制御因子PhcAを機能化する。機能化PhcAにより発現が誘導されるlecM遺伝子にコードされるレクチンRS-IILは、病原性に不可欠なバイオフィルム形成に関与する。多くの細菌のQSで報告されているQSシグナル合成時のフィードバック制御機構が、青枯病菌では明らかとなっていない。そこで、QSに関わる遺伝子の欠損株の3-OH MAME産生について解析した。phcB遺伝子欠損株ΔphcBとphcA遺伝子欠損株ΔphcAと同様に、 lecM遺伝子変異株の 3-OH MAME産生は、OE1-1株と比べて著しく減少した。しかし、これらの株のphcB遺伝子の発現量は、OE1-1株と同等であった。すなわち、RS-IILタンパク質は、OE1-1株の3-OH MAME産生過程のフィードバック制御に関与すると推察された。トマト細胞間隙液を用いてin vitro静置培養したOE1-1株は、マッシュルーム型BF(mBF)を形成する。in vitro系のmBF形成過程で、OE1-1株はQSを起動し、ralfuranone化合物を産出する。そこで、mBF形成へのQSの関与について解析を行った。ΔphcBとΔphcAはmBFを形成した。一方、ralfuranone産生能欠損株(ΔralA)はmBF形成能を喪失し、ralfuranone化合物の添加によりmBF形成能は回復した。 すなわち、QSはmBF形成の阻害に関与する情報伝達系を誘導するが、QSにより産生が誘導されるralfuranone化合物は、この情報伝達系を阻害する。これにより、OE1-1株はmBFを形成すると考えられた。。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
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