研究課題/領域番号 |
26660042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
刑部 正博 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50346037)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダニゲノム / 殺ダニ剤抵抗性 / 連鎖地図 / ピリダベン抵抗性 / ナミハダニ |
研究実績の概要 |
1. ハダニ染色体構造の解明 ナミハダニのscaffoldの連鎖地図へのマッピングについて、本年度は大きい方から20番目までのscaffold内にあるマイクロサテライトについてプライマーを設計し、機能することを確認した。また、解析の効率化のため、multiplexによる連鎖解析法を検討し、4~6遺伝子座の同時解析が可能になった。現在、系統間正逆交配からF2雄を得て、それらを材料として順次解析を進めている。また、同時に薬剤抵抗性遺伝子を統計的に連鎖地図上にマッピングする方法についても可能となった。しかし、マッピングに際して薬剤抵抗性遺伝子を量的形質として取り扱う方法についてはもう少し検討が必要であり、これについては次年度にさらに検討を進める予定である。 2. ピリダベン抵抗性における卵の高レベル抵抗性発現と卵特異的母性効果 まず、抵抗性及び感受性系統をさらに選抜・逆選抜して材料を確定し、それらの正逆交配により卵限定的に発現する母性効果を確認した。ピリダベンの作用点であるミトコンドリア電子伝達系複合体Iを構成するタンパクの内、ミトコンドリアDNAにコードされているND1およびND5の塩基配列を解析し、系統間で変異が無いことを確認した。次に、母親から卵へのチトクロムP450もしくはそのmRNAの移行に関する検証を試みた。その結果、母親へのP450阻害剤の投与により卵の感受性が上昇した。抵抗性系統の雌成虫および卵では、感受性系統に比べて高いP450活性が検出された。系統間の正逆交配では、抵抗性系統が母親になった場合に卵でのP450活性が高くなったが、その後発育したF1雌成虫では活性の差がなくなった。これらの結果は、母親から卵へのタンパクもしくはmRNAの移行との仮説を支持した。現在、抵抗性遺伝子の詳細なマッピングを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在計画に沿って研究が進んでいる。多大な労力を要するゲノムマッピングについてもほぼ手法が固まり、次年度から効率的な進展を予想している。また、ピリダベン抵抗性についても、現在、詳細なマッピングを試みており、次年度中には結果が得られるものと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、本年度と同様に計画に沿ってゲノムマッピングを中心に研究を進める予定である。また、ピリダベン抵抗性を材料として、連関解析の方法の検討にも入る予定である。 次年度から予定しているシエノピラフェン抵抗性に関しては、本年度、従来に比べて雌成虫のLC50値が顕著に高く、さらに卵においても高度な抵抗性を発現する系統が見つかった。このため、これについては当初の計画に加えて、抵抗性形質の遺伝等の確認が必要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費等の端数が余ったため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分と合わせて通常の使用を進める
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