研究実績の概要 |
ナミハダニゲノムにおけるscaffoldについて、大きい方から1~40番目まで(これによりナミハダニゲノムの大半がカバーされる)のscaffold上にあるマイクロサテライト(SSR)を探索し、それぞれのscaffold上のSSR特異的なPCR用プライマーを作成した。これらのプライマーの変異を8つの飼育系統で調査し、変異が多い(解析可能な遺伝子座数が多い)交配組み合わせを4組選んで正逆交配を行い親世代とF2世代の雄(半数体)をサンプリングして、個体ごとにDNAを粗抽出し、PCR用のテンプレートを作成した(抽出個体数は親世代の雌と雄でそれぞれ128および31個体、F2世代の雄で650個体である)。時間的制約から、本年度はこれらの内、1組の正逆交配(親世代の雌と雄でそれぞれ22および8個体、F2世代の雄172個体)について、multiplexを用いたフラグメント解析によりSSR遺伝子型を調べた。これらのデータを昨年度までのデータと合わせて連鎖解析した結果、3つの連鎖群が推定された(L1: scaffold 1, 19, 2, 5; L2: 9, 14, 32, 4, 11; L3: 7, 35, 12,13, 8, 21, 26, 36)。さらに、scaffold 16と30、22と29もそれぞれ連鎖していることが示された。したがって、今後さらにサンプルの解析を進めることにより、ゲノム構造が明らかになると考えられる。 また、エトキサゾール抵抗性に関連するキチン合成酵素CHS1上のDNA置換(SNP)の集団中の頻度を制限酵素とリアルタイムPCRによるΔΔCt法を組み合わせて高精度に推定する方法を開発した。なお、SNP頻度推定値が卵(雄)の死亡率とほぼ一致したことから、このSNPがエトキサゾール抵抗性の主要因であることを確認した。
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