研究課題/領域番号 |
26660047
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
南澤 究 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70167667)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土壌生物 / 根圏窒素循環 |
研究実績の概要 |
本研究では、ダイズ根圏N2O発生へのカビ脱窒の寄与・様式・削減策を明らかにするために、 1. 根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、2. 硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能、3. 15N同位体のN2O分子偏在性解析によるカビ由来N2O発生の寄与度評価、4. 非脱窒型フザリウムによるN2O削減の可能性を明らかにすることを目的としている。 本年度は、主に15N同位体のN2O分子偏在性解析で重要なデータが得られた。硝化細菌と糸状菌が発生するN2Oの15N同位体のN2O分子偏在性のインデックスであるSite preference (SP)値が近いことが知られているので、ダイズ根圏に硝酸または亜硝酸 (1 mM) を導入した際に発生するN2O分子のSP値を測定した。その結果、硝酸添加より亜硝酸添加によって高いSP値が得られた。亜硝酸添加の場合は、ダイズ根粒菌の寄与も考えられたので、亜硝酸還元酵素遺伝子nirKを破壊したダイズ根粒菌が共生したダイズ根圏に亜硝酸を添加したこころ、野生株のダイズ根粒菌接種よりSP値がさらに上昇した。分離フザリウムの培養では亜硝酸のみからN2Oを発生すること、フザリウムをはじめとするカビ脱窒のSP値は30パーミル前後と高いという二つの理由から、本結果は亜硝酸をN2Oの基質にするカビ脱窒がダイズ根圏で生じていることが強く示唆された。 また、分離フザリウムがダイズ根圏で優占種であることのRISA多型解析による証明、硝酸および亜硝酸存在下における分離フザリウムの培養特性やITS配列の詳細な解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、最も優先度の高い15N同位体のN2O分子偏在性解析によるカビ由来N2O発生の解析が進んだ。そこで、論文をまとめるために、分離フザリウムがダイズ根圏で優占種であることのRISA多型解析による証明、硝酸および亜硝酸存在下における分離フザリウムの培養特性やITS配列の解析などにエネルギーをさいた。論文発表を軸に研究展開するためには重要であると思われる。また、本年度は、根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能、非脱窒型フザリウムによるN2O削減については、いくつかの予備実験を実施し、来年度につながる興味深いデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
上記の論文発表とそのための追加実験に来年度前半は集中する。本年度は、根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能について、本年度の予備実験結果に基づいて、以下のような研究を行う。 根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャルについては、亜硝酸存在下でN2Oを発生するSP培地の培養に、15N標識の亜硝酸を添加し、発生するN2O分子の質量分析を行う。15N14NO、14N15NOが検出されれば共脱窒が起こっていることが証明できる。 硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能の解析については、アンモニアを添加したSP培地において、硝化細菌(または根圏土壌)とフザリウムを接種して、抗生物質等を入れた様々な条件で培養を試み、添加アンモニアがN2Oに安定的に変換される共培養系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、ダイズ根圏N2O発生へのカビ脱窒の寄与・様式・削減策を明らかにするために、 (1) 根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、(2)硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能、(3) 15N同位体のN2O分子偏在性解析によるカビ由来N2O発生の寄与度評価、(4)非脱窒型フザリウムによるN2O削減の可能性を明らかにすることを目的としている。平成26年度には、(3) 15N同位体のN2O分子偏在性解析によるカビ由来N2O発生の寄与度評価の研究が進み、補足データ取得のための実験も行い、現在論文執筆中である。平成27年度は、(1) 根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、(2)硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能、(4)非脱窒型フザリウムによるN2O削減の可能性の実験を本格的に実施するために、予算の繰越を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、(1) 根圏分離フザリウムの共脱窒ポテンシャル、(2)硝化細菌とフザリウムの共生体の形成と機能、(4)非脱窒型フザリウムによるN2O削減の可能性の実験を本格的に実施するために、試薬購入やFISHなどの顕微鏡観察のための人件費を計上している。
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