N2Oは温室効果ガスであり、マメ科作物根圏はN2Oの主要な発生源である。本研究では、根粒根圏の糸状菌N2O生成について、下記の成果を得た。亜硝酸を利用するカビ脱窒が当該根粒根圏で生じていた。根粒根圏から12株のフザリウム分離株を得た。N2O発生圃場のダイズ根粒根圏における糸状菌群集構造解析の結果、分離フザリウム株が圃場およびポットでも優勢であった。大部分のフザリウム単離株が亜硝酸からN2Oの顕著なカビ脱窒反応を触媒し、主に二分子の亜硝酸から一分子のN2Oが生成していた。以上の結果より、ダイズ根粒根圏では亜硝酸利用型のカビ脱窒によりN2O発生が実質的に起きていると結論された。
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