研究課題/領域番号 |
26660061
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪井 康能 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60202082)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レドックス制御 / タンパク質生産 / メタノール酵母 |
研究実績の概要 |
メタノール資化性酵母は、強力なメタノール誘導性プロモーターを持ち、有用タンパク生産の異種遺伝子発現宿主として広く利用されている。しかし、異種タンパク質の分泌発現では、酵母内で付加された糖鎖のヒトに対する高い抗原性や小胞体ストレス惹起による発現低下が問題となる。本研究では、糖鎖付加や小胞体ストレスの惹起を避けるため、酸化的にしたサイトゾルにおいて異種タンパク質合成を行う新規生産系を確立する。 今年度は、通常還元的な環境にあるサイトゾルのレドックス状態を酸化的に調整することで、分子内にジスルフィド結合を含むトロンボモジュリンの新規フォールディング系の確立を行うため、既に見いだした培養条件やglutathione reductase 遺伝子を欠損したglr1Δ株などのサイトゾルが酸化的になっている株を含め、各種レドックス変異株を様々な培養条件において、トロンボモジュリンの発現を行ったところ、glr1Δ株のサイトゾルでの発現に成功し、かつ発現したトロンボモジュリンの生理活性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有用タンパク質のサイトゾルにおけるフォールディング系を構築することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、レドックス状態を Redoxfluor によりモニタリングしつつ、サイトゾルでの折りたたみ効率のより高い条件を同定する。さらに、小胞体におけるフォールディングに関わるPDI(ジスルフィド結合の掛け替え酵素)やEro1L(PDI 酸化酵素)といったほ乳類のレドックスシャペロンの過剰発現によるフォールディングの効率化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は共同研究企業からのサポートがあり、使用額が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度未使用分は新規生産系の評価及び解析に使用する。
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