研究課題/領域番号 |
26660066
|
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
原島 俊 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70116086)
|
研究分担者 |
杉山 峰崇 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80379130)
笹野 佑 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90640194)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 酵母 / ゲノム工学 / 染色体工学 / ゲノムの再編成工学 / ゲノム育種 |
研究実績の概要 |
申請者らは、酵母を材料として、それまでいずれの生物でも開発されていなかった染色体任意部位のワンステップ分断技術、任意領域の削除技術、重複技術等々、多様なゲノム工学技術を開発し、それらの技術が実際に「ゲノム機能の解明や育種」に応用できることを20報近い論文によって示してきた。しかし、従来の技術は、一度の形質転換で、染色体一カ所の分断、あるいは一領域の削除、重複しかできず、同時性と迅速性の観点からは満足のいくものではなかった。そこで、本研究では、染色体の分断技術に、近年勃興してきたゲノム編集技術CRISPR/Casを取り入れ、従来不可能であった染色体の複数部位の同時分断を可能とする、スループットの高い革新的なゲノム工学技術を確立することを目的とした。 昨年度までに、同じ染色体上の2カ所、また異なる染色体上の2カ所の同時分断に成功していたので、本年度は、同時3箇所分断、さらに同時4カ所分断に挑戦した。その結果、まず、異なる染色体における3箇所同時分断に成功した。これより1回の形質転換で、3つの天然の染色体を6つの人工染色体にすることが可能となった(3本→6本)。ついで、同一染色体における3箇所同時分断にも成功した。この結果、1回の形質転換で、1本の天然染色体を4つの人工染色体にすることが可能となった(1本→4本)。さらに、異なる染色体上の4箇所の部位の同時分断に成功した。これより、1回の形質転換で、4つの天然染色体を8本の人工染色体にすることができるようになった(4本→8本)。これらの結果は、ゲノムの再編成技術によりゲノムの多様性を創出するために必要な、多数の人工染色体の創出を、これまでより飛躍的に短い時間(おおよそ5週間が1週間程度)で達成することができることを意味しており、染色体分断に要する多大な時間や労力を大幅に削減することが出来ることとなった。
|