研究課題/領域番号 |
26660068
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松下 一信 山口大学, 農学部, 教授 (50107736)
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研究分担者 |
片岡 尚也 山口大学, 農学部, 助教 (50713509)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PQQ / キノプロテイン / 還元型PQQ / 酢酸菌 |
研究実績の概要 |
酢酸菌の膜結合型キノプロテイン・グリセロール脱水素酵素(GLDH)は,PQQの外れたアポ型に成りやすく、それが酵素の不安定要因となっているが、PQQ易脱離性の原理および理由が明らかになっていない。一方で,Acinetobacterの水溶性キノプロテイン・グルコース脱水素酵素(sGDH)は,ペリプラズムに存在する酸化還元酵素でありながら,その電子受容体が見つかっていない。そこで,昨年度に引き続き、両酵素の機能を解明するために、以下の研究を行った。 1.酢酸菌GLDHの精製とその機能解析 昨年度は、酢酸菌Gluconobacter frateurii CHM43のGLDH高発現株からその精製を妨害するアルコール脱水素酵素(ADH)の欠損株を作成した。そこで,本年度はその細胞膜からのGLDHの可溶化・精製を試み,ほぼ不純物を含まない精製酵素を得ることができたが、予想どおりアポ型が多く非常に不安定なため、その後の機能解析には進めていない。そこで、CHM43よりその比活性,特にアルカリ側活性、が劣るものの、安定酵素が得やすいGluconobacter thailandicus IFO3255株の精製して,本酵素が有する2つの至適pH(酸性,アルカリ性)におけるPQQの結合キネティックス解析を行った。その結果、本酵素のPQQ結合親和性がpH8.0でpH5.0に比べ、Ca/Mgいづれの存在下でも33-34倍低いことが明らかとなった。 2.Acinetobacter sGDHの機能解析 大腸菌高発現株から精製したsGDH(アポ型酵素)を用いて,PQQ添加後の酵素活性をpH6.5及び8.5で測定し、その活性に及ぼす活性酸素除去系(SODもしくはMn) の影響を調べた。その結果、活性酸素除去系因子がpH6.5の活性を若干促進するのに対し、pH8.5の活性を大幅に阻害することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酢酸菌Gluconobacter frateurii CHM43のADH欠損株の細胞膜から、GLDHの可溶化・精製し,ほぼ精製酵素を得ることができたが、非常に不安定なため、CHM43株の酵素を使った機能解析ができておらず、Gluconobacter thailandicus IFO3255株からの精製酵素を使って解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、CHM43のGLDHの安定酵素の取得を試みるが、もしそれが得られない場合は、IFO3255株の精製酵素を用いた解析を進める。また、sGDHの精製酵素からの解析では、活性酸素がアルカリ側の活性に関係するとする興味ある現象が見つかったので、その周辺を注意深く解析してゆく予定である。
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