研究課題
好気・嫌気両条件下におけるCellulomonas sp. D3a 株のカルコゲンオキシアニオン還元能を調べた結果、本菌は好気・嫌気下においてテルル酸を還元する一方、嫌気下のみにおいて亜セレン酸を還元することを見出した。また、亜セレン酸およびテルル酸の還元により生じた元素状Se・Teナノ粒子の細胞内外の蓄積を走査型電子顕微鏡 (SEM) および透過電子顕微鏡 (TEM)を用いて観察した。その結果、亜セレン酸の還元に伴い菌体表面にSeナノ粒子とみられる物質が観察された。一方で、テルル酸の還元では、菌体表面にはTe 粒子とみられる物質は観察できず、500 nm を超える針状のテルル粒子とみられる物質が細胞を貫く状態で観察された。これまでに、好気下でテルル酸を還元できる細菌はほとんど報告されておらず、本菌が新奇なテルル酸還元系を有することが示唆された。テルル酸還元能を指標にしたスクリーニングを行い、テルル酸還元能が低下した変異株(IN1 株)を得た。一方で、バイオインフォマティクス解析により、IN1 株におけるカルコゲンオキシアニオン還元酵素の推定を試みた。得られたIN1 株の全ゲノム配列に対して、BLAST検索を行った結果、これまでにカルコゲンオキシアニオン還元酵素として報告されている酵素のホモログが複数見出だされた。一方、これまでにテルル酸還元にはモリブデンの関与が示唆されてきたが、本菌のゲノム上には、モリブデンコファクター生合成系酵素群が存在しなかったことから、本菌がこれまでに報告されていない新奇のテルル酸還元酵素を有することがゲノム解析から支持された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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