研究課題/領域番号 |
26660073
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
片倉 啓雄 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50263207)
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研究分担者 |
山崎 思乃 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (50602182)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Lactobacillus / 乳酸 / 固体培養 / 菌体外多糖 / 接着 |
研究実績の概要 |
申請者は、Lactobacillus bulgaricusを小麦粉と脱脂粉乳の等量した水分50%程度の培地で培養すると、通常の液体培養に比べて生菌数あたりの乳酸生産量が1/50程度に減少することを発見し、本課題を申請した。しかし、その後の研究で、使用した乳酸菌株には、平板培養による生菌数計測においてコロニーを形成しない乳酸菌が含まれており、生菌数を過少評価していたことが判明した。純化した菌株では、乳酸生産がやや抑制されるが、有意な抑制とは言えなかった。 そこで改めて乳酸生産が抑制される菌株と培養条件を探索するために、固体培地中の菌数をATP量で迅速評価する方法を開発し、液体培養を対照として、菌体あたりの乳酸生産量を迅速に評価する方法を開発した。 Lactobacillus casei ATCC334株は、酵母と共培養すると菌体外多糖を生産して代謝が変化することがこれまでの研究で分かっている。この変化は酵母マンナンの添加によっても起きたので、酵母の死菌体を培養に添加した時の遺伝子発現を解析した。その結果、酵母の死菌体に接着した乳酸菌では、菌体外多糖生産に関連する遺伝子の発現が有意に高まることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は乳酸生産が顕著に抑制される条件における代謝を解析する予定であった。しかし、コロニーを形成しない乳酸菌の存在により、菌数を過少評価していたため、実は乳酸生産はほとんど抑制されないことが判明した。 用いた菌株には、MRS寒天培地でコロニーを形成する株と形成しない株の二種類の乳酸菌が混在してていた。コロニーを形成しない株は液体培地で良好に増殖するが固体培養での増殖が悪く(高浸透圧のためと考えられる)、コロニーを形成する株は液体培地でも固体培地でも増殖する。このため、液体培養ではコロニーを形成する株の菌数あたりの乳酸生産量が多く、これが固体培養では抑制されるように見えていたことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
確立した菌数の迅速評価方法を用い、固体培養を中心に、乳酸生産が抑制される菌株と培養条件を探索する。 酵母との共培養によって代謝が変化して菌体外多糖を生産するL. casei ATCC334株について、液体培養では、酵母に接着しない乳酸菌の割合が高く、代謝の変化ははっきりしないので、固体培養を行って乳酸菌をマンナンに接着させ、代謝の変化を解析する。
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