研究課題/領域番号 |
26660077
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (80712489)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 細胞死 / 微生物 / 遺伝子水平伝播 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、細菌が自身の染色体に潜むICEと呼ばれる外来遺伝子領域の水平伝播と引き換えに、特殊なプログラム細胞死を起動し、死に至ることを発見した。本研究では、このプログラム細胞死を担うParA-Shiという2つの新規因子の解析を進め、細胞死の分子メカニズムおよびその生物学的意義の解明を目的とした。当該年度の当初の計画では、ParA-Shiの細胞内挙動の一細胞ライブイメージングとタンパク質立体構造解析に向けて、ParA-Shiを適切に誘導発現するベクター系を確立する予定であった。しかし、両遺伝子をクローニングする過程で、shi遺伝子がタンパク質をコードするのではなく、small RNAや何らかのシスエレメントである可能性も示唆されたため、まずはRACE (rapid amplification of cDNA ends) やNorthern blotを用いたshi遺伝子の転写・翻訳解析を行うことにした。5'RACEの結果、parA-shi遺伝子はポリシストロニックに転写されることが証明されたが、同時にshi遺伝子内部に2つの転写開始点が見つかったことから、shi遺伝子領域内から何らかの別のRNAが転写されていることが明らかとなった。現在は、このshi遺伝子内部の転写開始点から始まる新しいRNAが上記の細胞死とどのように機能的にリンクしているのかを明らかにするためin vivo解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ParA-Shiの細胞内挙動やタンパク質立体構造解析という当初の目標達成までには至っていないが、機能未知であったshi遺伝子の機能解明という目的に向かって着実に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは引き続きRACEやNorthern blotを行い、shi遺伝子がタンパク質をコードするかどうかを確認する。その後、ParA及びShiを蛍光ラベルし、一細胞レベルにおける細胞内挙動をライブイメージングする。平行して、ParA (Shiがタンパク質である場合はShiも) の結晶構造解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗上、当初予定していたタンパク質の精製・結晶化にかかる費用が不要になったため。また、顕微鏡用のロングライフ蛍光光源が予定より安く購入することができたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度に行うことができなかったタンパク質の立体構造解析の費用に使用する。
|