真核生物のプログラム細胞死は、器官形成などの発生過程や偶発的に出現した異常細胞を排除する際に起動し、多細胞生物の機能性・恒常性を維持する上で必要なシステムである。一方、細菌のような原核生物では、プログラム細胞死を利用する意義について様々な説があるものの、実験的に証明された例は少ない。本研究では、細菌の染色体上に存在するICEと呼ばれる外来遺伝子領域に焦点を当て、ICEがコードする新規プログラム細胞死の分子基盤の解析を行った。本研究から、ICEにコードされるParAとShiという二つのタンパク質が細胞内に局在し、染色体等と相互作用することで細胞の成長阻害を引き起こすことを明らかにした。
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