研究課題/領域番号 |
26660087
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊福 健太郎 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50359783)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 植物 / 光合成 / 葉緑体 / チラコイド膜 / タンパク質複合体 |
研究実績の概要 |
葉緑体チラコイド膜においては、光合成の電子伝達鎖を形成する膜タンパク質複合体が膜上で集合し、安定もしくは過渡的な超複合体を形成して機能することが報告されている。しかしながら、そうした超複合体の三次元立体構造を、よりインタクトに近い形で可視化する手法は限られている。そこで本研究では、電子顕微鏡を用いた単分子観測によって、光合成膜タンパク質超複合体の全体像を可視化する技術を開発することを目指した。 (1)電子顕微鏡による複合体解析条件の検討 本年度は主に、好熱性シアノバクテリアSynechococcus elongatus由来の光化学系II複合体を用いた解析を行った。アクリルアミドゲル、もしくはアガロースゲルで分離した光化学系II複合体をゲルから切り出して固定し、樹脂包埋切片の電子顕微鏡像を取得した。複合体濃度によっては凝集物ばかりが認められたため、単分子を解析するための最適化を行った。一方、クライオ電子顕微鏡を用いた解析では、膜表在性のサブユニットを含めた比較的鮮明な画像を取得することに成功した。 (2)緑色植物型の光化学系II複合体の精製条件の検討 詳細な立体構造が未解明な緑色植物型の光化学系II複合体の構造情報を得るため、クラミドモナスを材料に複合体の単離条件を検討した。光化学系IIの膜表在性サブユニットであるPsbPにヒスチジンタグを付加したタンパク質を発現する形質転換体を作成し、実際に複合体がアフィニティー精製できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
好熱性シアノバクテリア由来の光化学系II複合体を用いた予備実験では、比較的鮮明な電子顕微鏡像を取得できており、また、緑色植物由来のタンパク質複合体の単離精製についても有望な結果が得られつつあるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、緑色植物由来の光化学系II複合体の精製と電子顕微鏡解析を中心に進める。余裕があれば、葉緑体NDH複合体の解析についても進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
電子顕微鏡の受託解析が、サンプル調整や受託先の都合で一部、次年度にずれこんだため。
|
次年度使用額の使用計画 |
主に電子顕微鏡の受託解析費用として、予定通り支出する。
|