研究課題/領域番号 |
26660095
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松井 健二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90199729)
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研究分担者 |
田中 秀平 山口大学, 農学部, 教授 (50116729)
肥塚 崇男 山口大学, 農学部, 助教 (30565106)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 根こぶ病 / 休眠胞子発芽誘引物質 / アブラナ科植物 |
研究実績の概要 |
根こぶ病原体の休眠胞子発芽誘引物質単離のため、発芽能の高い休眠胞子調製方法の確立を進めている。白菜に感染させて根こぶを生じさせた後、根こぶを回収、洗浄後、ミキサーで破砕、濾過して休眠胞子懸濁液を得た。この懸濁液は極めて純度が低く、発芽試験中に様々な微生物が繁茂するため発芽試験には耐えない。そこで、懸濁液の精製を進めた。まず、分別遠心を繰り返すことでの精製を試みた。この精製では顕微鏡下で休眠胞子以外が見られない比較的純度の高い懸濁液を用意できたが、発芽試験には1週間の保温が必要でその際に雑菌の繁茂を避ける事ができず、実際的ではなかった。そこで、パーコール密度勾配遠心による精製を試みた。種々条件検討の結果パーコール濃度50%程度で根こぶ病原体休眠胞子を純度高く得る事ができた。この休眠胞子調製物は1週間程度の保温中も雑菌の繁殖が認められず、発芽試験に適した材料と考えられた。ただ、こうして得られた休眠胞子は発芽誘引をしなくても発芽する傾向が認められた。本来、休眠胞子の発芽はアブラナ科植物根分泌物でのみ誘導されるはずで、アブラナ科植物を共存させていない条件での発芽は極めて奇異な現象である。現在、パーコール密度勾配遠心過程のどの段階で発芽誘引されるのかを明らかにするため検討を進めている。また、精製された休眠胞子を用いて発芽試験を進めており、このアッセイ系をスケールダウンする事でより効率的に発芽誘引活性物質の単離が可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
休眠胞子を純度高く得る事に予想以上に時間を要したため、発芽誘引活性測定条件確立にまだ至っていない。ただ、生理活性天然化合物の精製に際し、確実なアッセイシステムがどうしても必要で、十分に最適化しておく必要がある。幸い、パーコール密度勾配遠心によりかなり純度高く精製する条件を見いだしたので今後、誘引物質の単離は比較的速やかに進むと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに確立した精製手法で大量の休眠胞子を得る。一方、白菜の水耕栽培液を活性炭カートリッジに循環させ継続的に根分泌物質を吸着する。エタノール脱着後、得られた抽出物について精製した休眠胞子と混合し、発芽活性測定を行う。活性画分についてはさらにカラムクロマトグラフィーにて精製を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度にアッセイ系の確立が遅れ、生理活性物質の精製、構造決定が後ろ倒しになった。そこで、精製構造決定に用いる予定の経費を27年度に繰り越し、効率よく研究が進められるようにした。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度繰り越し分を当初予定分と合算し、特に精製に要するカラム関連試薬類の購入に充てる。
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