研究課題
本研究では、カエル食のヘビに対する捕食阻害効果が証明されたツチガエルの体表分泌物より、ヘビ捕食阻害成分を同定することで、世界に先駆けて物質レベルで変温動物の化学防御機構を証明することを目指している。“味”または“臭気”が毒に匹敵しうる有効な生存戦略の一つであることが証明されれば、環境調和型動物忌避剤の開発にも知見を応用できる。苦味の本体として同定されたペプチドの構造確認のため、前回プロテインシーケンサーにて得られた予想構造を持つペプチドを委託合成した。これをHPLCにて精製後、HPLC分析によるピーク同定に供した。非常に界面活性が高いせいか、注入量が一定量以上になるとカラムに保持されずフロントに溶出し、保持時間の一致に頼った同定は非常に困難だった。そこで界面活性による保持のかく乱を生じない微量(20 ng)をLC-MS分析に供した。ダイオードアレイによる検出限界以下であり、UV吸収による検出は出来なかったが、多価イオンを標的にしたイオン選択的モニタリングにてピーク溶出を検出し、保持時間を比較したところ、予想構造を持つペプチドは保持時間が天然物と一致したことから、構造を最終確認できた。特異臭については、前回開発した試香紙を用いた臭気捕集法にヒントを得て、官能評価法を試香紙を用いたものに変更したところ、前回GC-MS分析にて検出したイオノン誘導体が特徴香の一部を再現することが確認できた。これに加えて、アルデヒド2成分についても、特異臭の構成成分であるかどうか確認するため、現在標品の入手と試香紙を用いた方法で官能評価を検討している。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
Chemical Science
巻: 9 ページ: 307-314
10.1039/C7SC01996C
The Journal of Antibiotics
巻: 70 ページ: 708~709
10.1038/ja.2017.32