研究実績の概要 |
AM菌 Gigaspora margaritaの胞子を滅菌水で軽く洗浄した後に, 再び滅菌水に懸濁し, 超音波処理することで胞子表面に付着しているバクテリアを水中に遊離させた。この懸濁液をR2A寒天培地に塗布し, 30℃で培養した。発生したバクテリアのコロニーを培養し,Agrobacterium tumefaciens NTL4をレポーター株として用いたペーパーディスクアッセイにより N-アシルホモセリンラクトン(AHL)生産菌を数株単離した。これらの中で最もAHL生産性の安定していた菌株について 16S rDNA塩基配列解析を行い, Sphingomonas changbaiensisに近縁のSphingomonas sp.と同定した。 本菌株をR2A液体培地で大量培養した後, 培養濾液を酢酸エチルで抽出し, 得られた抽出物を各種クロマトグラフィーを用いて精製し, 2つのAHL活性物質を単離した。1H-NMR及びMS解析を行ったところ,これらAHLは3-hydroxyoctanoyl-HSL(3-HO-C8-HSL)の立体異性体と推定された。そこで, DMT-MMを縮合剤としたL-AHLと(±)-3-hydroxyoctanoic acidとのカップリング反応により標品を合成し, LC-MS 分析による比較を行ったところ, 完全に一致した。さらに, キラル HPLC-MS分析によりこれらAHLの絶対立体配置を(3R)-HO-C8-L-HSLと(3S)-HO-C8-L-HSLと決定した。
|