研究課題/領域番号 |
26660115
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤村 由紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (20390304)
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研究分担者 |
三浦 大典 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (40532627)
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
早川 英介 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (20739809)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食品動態分析 / 質量分析イメージング / MALDI-MS / マトリックス |
研究実績の概要 |
“標識化”に依存しない分子イメージング法は、既存法では取得困難な“見たい分子”の動態情報を与え、機能性食品の研究開発過程の諸問題を解決できる基盤技術の創出につながる。本研究では、申請者独自の組織内代謝動態を非標識で捉えるマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)イメージング法を、その技術的ボトルネックであり、興味分子の検出(イオン化効率)に最も影響を与えるにも関わらず未開拓なイオン化助剤“マトリックス”の独自開発により先鋭化して、疾病リスク低減効果を有するポリフェノールを中心に複数成分の組織内代謝を非標識で同時に可視化できる複合動態イメージング法を創出する。この実現のため、約80種類以上からなるマトリックス候補化合物からなる“マトリックスライブラリー”を構築し、対象化合物群(70種類以上からなるファイトケミカルおよび緑茶抽出物)との総当たりMALDI-MS測定を行った。その結果、対象化合物のイオン化の可否や効率がマトリックスの種類で異なることが判明した。また、その相違がマトリックスと対象化合物側の構造的違いに相関する場合も認められた。さらに、標準品レベルのみならず、複数成分の混合系である緑茶抽出物においても、イオン化能の高いマトリックスが得られると共に、その抽出物の品質や機能性に相関した成分プロファイル情報を得ることができた。本成果は、食品因子のイオン化傾向をシステム的に把握するのに有用な構造機能相関情報を内包しており、スクリーニングで得られたマトリックスを用いることで、複数の摂取成分の未変化体およびその代謝物のマウス組織切片上での分布の可視化が可能であった。以上の結果から、マトリックススクリーニングが興味分子をイオン化できるマトリックスの発掘や、品質や機能性に連動する複数成分を同時に検出できるマトリックスの創出に極めて有用であることが示唆された。
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