研究課題/領域番号 |
26660117
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山地 亮一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00244666)
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研究分担者 |
岩田 晃 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (90382241)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 栄養学 / 機能性食品成分 / β-カロテン / 骨格筋 / BCMO1 / レチノイン酸受容体 |
研究実績の概要 |
高齢者は自立した健全な生活を送るための対策として、骨格筋量を維持・増加する必要がある。本研究は、 骨格筋量の維持・増加を機能性食品成分でサポートするというコンセプトで、プロビタミンAであるβ-カロテンがマウスの筋量を増加する作用を持つことを見いだした。本研究ではβ-カロテン摂取により量的に増加した骨格筋の特徴を生化学的及び生理学的に明らかにする(課題1)。一方、β-カロテンが筋量を増加する分子機構を検討したところ、β-カロテンがβ-カロテン15,15´-モノオキゲナーゼ1(BCMO1)による代謝後に生じたレチノイン酸がレチノイン酸受容体(RAR)を活性化するという従来の分子機構と異なり、β-カロテン自体がRARを活性化する新規分子機構の存在を示唆する成果を得たので、本研究ではBCMO1ノックアウトマウス(KOマウス)を作製して、新規分子機構も解明する(課題2)。 課題1について、β-カロテン摂取により増加したマウスのヒラメ筋では、筋線維のサイズが増加(筋肥大)しており、マウスの下肢の等尺性収縮力は増加した。また単離したヒラメ筋では、単収縮力は増加傾向であり、強縮力は有意に増加した。一方、単位面積あたりの強縮力には変化がなかったことから、量的に増加したヒラメ筋は機能性のある肥大であることが判明した。タンパク質合成促進因子であるインスリン様成長因子1の発現が増加し、タンパク質合成量が増加していた。一方、筋タンパク質分解に寄与するユビキチン化タンパク質の量が低下していたことから、筋タンパク質の合成促進と分解抑制により筋量が増加することが示唆された。 課題2について、購入先からのCre-LoxP系の条件付きKOマウスの輸送が遅れ、KOマウスの匹数の確保が予定より遅れている。しかし現段階でヘテロのKOマウス(♂と♀)を得ており、現在これらを用いてホモのKOマウスを繁殖する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、β-カロテン摂取により量的に増加した骨格筋の質的解析を行い、機能性のある筋肥大であることを明らかにした。また筋肥大が筋タパク質の合成の促進と分解の抑制であることを見いだしたことから、目的とするβ-カロテンにより筋肥大した骨格筋の特徴を生化学的及び生理学的に明らかにできた。一方で、少し予定より遅れているが、KOマウスを♂と♀それぞれでヘテロのKOマウスとして獲得できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は「β-カロテン自体がRARの基質として機能するのか?」という課題を解決するため、現在作製中であるBCMO1 KOマウスを利用してβ-カロテン摂取による筋量増加を評価する。またBCMO1 KOマウスから単離したサテライト細胞(筋前駆細胞)の分化に及ぼすβ-カロテンの効果を測定する。さらにβ-カロテンがレチノイン酸受容体(RAR)に直接結合するかをβ-カロテンアフィニティ樹脂を作製して評価する。本年度実施する主な実験項目は以下の通りである。(1)BCMO1 KOマウスへのβ-カロテン経口投与による後肢筋量におよぼす効果を評価し、さらに組織学的解析、筋力、筋形成・筋量増加に関与する因子についても検討する;(2)BCMO1 KOマウスから単離したサテライト細胞をβ-カロテン存在下で分化誘導してβ-カロテン自体の分化誘導能を評価する。さらにRAR発現ベクターとレポーターベクターを一過的にサテライト細胞にトランスフェクションし、RAR転写活性を測定する;(3)β-カロテンアフィニティ樹脂を作製し、β-カロテンアフィニティ樹脂と筋芽細胞で発現しているRARが直接結合するかを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度中にKOマウスを獲得し、自家繁殖により実験に必要とされる匹数を確保する予定であったが、ヘテロでCre-LoxP系の条件付きKOマウスの搬送が遅れた。そのため、現段階でKOマウスの獲得に至っておらず、本来今年度予定していたKOマウスの繁殖・飼育費用を次年度に使用する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由に述べたようにKOマウスの繁殖・飼育費用として次年度使用する予定である。実際に現在ヘテロでBCMO1をノックアウトした♂と♀のマウスを繁殖中であり、これらを使用して実験に必要な匹数を確保するために、平成26年度未使用予算を平成27年度に使用する予定である。なお平成27年度に元々予定している予算は今後の推進方策で述べた他の実験項目に必要である。
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