研究課題/領域番号 |
26660118
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
福田 真嗣 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (80435677)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 代謝産物 / マーモセット / 霊長類 / 腸内環境 / メタボロミクス / メタゲノミクス / 腸内エコシステム |
研究実績の概要 |
ヒトの腸管内に共生している多種多様な腸内細菌は、宿主腸管細胞や免疫細胞などと複雑に相互作用することで、腸管内における複雑な生態系、すなわち「腸内エコシステム」を形成している。近年の研究により、腸内エコシステムのバランスが崩れると炎症性腸疾患や大腸がんといった腸管局所の疾患のみならず、代謝疾患やアレルギーなどの全身性疾患につながることが報告されており、腸内エコシステム制御技術の確立が望まれている。しかし、従来のげっ歯類を用いた腸内エコシステムの研究では、得られた研究成果を直接ヒトへ応用するには大きな隔たりがあった。そこで本研究課題では、霊長類目であり腸内環境がヒトに類似しているコモンマーモセットを用いて、腸内エコシステムの人為的修飾によるヒト疾患治療・体質改善技術の基盤構築を目的とした。 本年度は、コモンマーモセット腸内環境の基礎情報を取得するため、年齢の異なる健康なコモンマーモセットの糞便を採取し、次世代シーケンサーを用いた腸内細菌叢の16Sメタゲノム解析、およびキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いた腸内代謝産物のメタボローム解析を実施した。また、大腸炎や肥満を自然発症した病態コモンマーモセット個体の糞便も採取し、同様に腸内環境の分析を実施した。得られた健康および病態マーモセットの腸内環境情報について、多変量解析などの統計科学的アプローチにより、コモンマーモセット腸内環境状態を評価可能とする腸内細菌叢プロファイルおよび腸内代謝産物プロファイルの特徴を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画書のスケジュール通りに、コモンマーモセット腸内環境の基礎情報を取得するため、健康および病態マーモセット糞便の16Sメタゲノム解析およびメタボローム解析を行った。統計科学的解析により一定の成果は得られた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の方針は、得られた健康および病態マーモセット腸内環境の基礎情報に基づき、抗生物質カクテルを用いた腸内細菌叢除去マーモセットの確立、および疾患マーモセットへの腸内細菌叢移殖試験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初は抗生物質カクテル投与試験の実施も計画していたが、実験の進捗に合わせて次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は研究計画書通りに、病態マーモセットへの抗生物質投与試験および、正常腸内細菌叢移殖による治療効果の検討を行う。
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