小笠原のテリハハマボウの陽葉では、乾燥勾配に沿って葉厚の増加は見られたが、葉身道管の切れやすさには変化はなかった。このことは葉厚が直接、道管と関連するという仮説を否定した。従って乾燥地での葉厚の増加は、水のキャパシタンスを増加させ、一時的に急激に起こる葉の脱水に対しても、葉のぼう圧や含水量を維持する意義の方が大きいと考えられた。また小笠原の乾燥尾根部に生育する樹木の枝の道管に関しては、通水要素間の壁孔壁の小孔サイズが小さくなっており、乾燥適応して進化してきていた。一般に組織構造は種保存的と考えられているが、壁孔構造とが進化し、道管の水を切れにくくし乾燥に適応している様子がわかってきた。
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