森林渓流水中の溶存全鉄(DFe)濃度,溶存有機物(DOM)濃度及び蛍光特性(EEM)-PARAFAC解析から得られる腐植様物質の指標を用いて,腐植酸鉄の流出規定要因の解明を試みた。集水域地形との関係から,渓流近傍に形成される還元的で有機物に富む湿地がDFe流出に重要だった。また,気仙沼湾流域において河川から沿岸までのDFe挙動を解析した。森林より耕作地がDOMやDFe供給源として重要であった。DFeや腐植様物質は降雨時に陸域から河口域に多く流出するが,湾内でほとんどが沈殿した。塩分添加実験から耕作地由来のDOM-DFeは,塩分に対する頑強性が高く海域へのDFe輸送力が高い可能性が考えられた。
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