研究課題/領域番号 |
26660128
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
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研究分担者 |
正木 隆 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (60353851)
光田 靖 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30414494)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 森林施業 / アセスメント / 失敗事例 / 成功事例 |
研究実績の概要 |
1.暖温帯における天然更新・広葉樹林施業に関するネガティブ・アセスメント 九州森林管理局高岡森林技術センターの技術開発完了課題27件(昭和57年度~平成16年度)について、事業報告書をレビューしポジティブ評価とネガティブ評価をリストアップした。その結果をマトリックス型で体系化し、やってはいけいない事例(堅果実播、シカ生息地での天然下種や実生刈り出し等)、条件付きで実施可能な施業(若齢を除く段階での除伐・萌芽の芽かき等、小径木以外の前生樹保残等)を整理して、施業指針を作成した。このような体系化によって、自分の管理対象の条件と照らし合わせて、「やってはいけない」以外のオプションを検討しやすい施業提案が可能となった。 2.暖温帯におけるにおける複層林施業に関するネガティブ・アセスメント 九州森林管理局高岡森林技術センターの技術開発完了課題27件(昭和46年度~平成12年度)について、事業報告書をレビューしポジティブ評価とネガティブ評価をリストアップした。その結果を判定フロー型で体系化した。広葉樹-広葉樹型複層林では、人工林・天然林に関わらず下木の定着が困難であり、樹形の乱れた生じやすいことが明らかとなった。針葉樹-広葉樹型複層林では上木の風倒被害の危険性が大きく、また下木の定着後も下刈り等の保育が必要であること、林内の前生樹を必ず保残する必要があることが明らかとなった。針葉樹-針葉樹型複層林では、下刈り省力は期待できず、上木の風倒被害も発生しやすいこと、さらに下木が成長するにつ入れて上木伐倒による被害が増加することが明らかとなり、小面積皆伐を伴わない複層林(垂直二段林)は基本的にやってはいけないことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
九州森林管理局の協力を得たことにより、九州地方における1)天然更新・広葉樹林施業、および2)複層林施業について多くの事例を分析し、それぞれをマトリックス型および判定フロー型で体系化することに成功した。これによって、他の地域の他の施業種についても、同様の手法で体系化できる目途が立った。
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今後の研究の推進方策 |
1.追加事例について前年度計画の3~4と同様の調査分析を行う。 1)関東地方:強度間伐・列状間伐、2)四国地方:適地適木、3)九州地方:松枯れ林施業 2.2年間の調査結果を総合化し、ネガティブ・リスト体系を修正する。 3.作成したネガティブ・リストに対して、有識者(研究協力者)による検証を依頼する。 4.検証結果を受けて、適宜リストの修正を行い、本課題2年間の成果を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施予定であった施業事例に関するインタビュー調査(出張)の一つが、先方の都合により実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施できなかったインタビュー調査を実施する。
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