本研究では先ず,窒素酸化物の窒素安定同位体比(δ15N-NOx)の新たな測定法を開発した。本法では,フィルターパック法でNOxを定量的に捕集し,続く脱窒菌法で同位体分別を受けずにδ15N-NOxを測定できる。次に,本法を現地観測に適用して,窒素飽和森林における大気中NOxの起源推定を行った。森林大気のδ15N-NOxは,都市大気のδ15N-NOxより低いが,土壌から放出されるδ15N-NOよりも高かった。2起源混合モデルによる解析の結果,本研究で観測した森林大気NOxは,81%の都市大気NOxと19%の土壌放出NOxで構成されていることが示唆された。
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