木材の効率的な利用を考えた場合、問題となるのがあて材の存在である。あて材は樹幹が傾斜した状態で肥大成長したときに形成される組織で、そこでは特異な成長応力が発生しており、玉切りや製材時に割れや狂いの原因となって利用歩留まりを著しく低下させている。そこで本研究では、針葉樹あて材の形成機構を遺伝子発現の観点から明らかにすることを目的とした。特に、環境からの機械的な刺激を感知して、細胞内のカルシウムイオン濃度を変化させると考えられているメカノセンシティブチャネルに着目して遺伝子発現量を調べた。その結果、樹幹に傾斜や曲げの刺激を与えることで、樹幹内の発現量分布が変化することが分かった。
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