近年、金属や酵素に替わるグリーン触媒として有機分子触媒に注目が集まっているが、触媒活性や反応選択性に多くの課題がある。本研究では、天然セルロースをTEMPO酸化したナノセルロースとアミノ酸のプロリンを組み合わせることで、極めて効率的に進行する新規触媒反応を発見した。不斉アルドール反応に適用したところ、既存触媒量の30分の1モル量で90%を超える収率と99%以上のエナンチオ選択性を発現した。さらに、種々の触媒種と基質で高度な不斉合成が可能であった。この反応は触媒分子の不斉源に依存しない、すなわちナノセルロース自身が不斉誘起する新機構に基づいており、樹木ナノセルロースの新機能として期待が持たれる。
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