研究課題/領域番号 |
26660147
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 邦義 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20346836)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 霊芝 / トリテルペノイド / 磁性ビーズ / 標的タンパク質 / ガノデリン酸 / ガノデルマアルコール / 抗癌活性 / 癌細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、未だ標的生体分子が明らかになっていない霊芝トリテルペノイドの標的生体分子の同定にチャレンジする。霊芝トリテルペノイドは、100種以上報告されており、それらは、前立腺肥大症、骨粗鬆症、癌等多岐にわたる疾患への有効性が知られている。しかしながら、その作用機構は不明であり、未発見新規機能性の存在も示唆されている。本研究では、霊芝トリテルペノイドの新規標的生体分子を明らかにすることを目的とする。本年度は、霊芝トリテルペノイドに含有されているトリテルペノイド類を32種類網羅的に単離した。具体的には、クロロホルム抽出物から各種クロマトグラフィー分画を経て、単離し、NMR、MSで同定した。さらに、得られた一連の化合物を用いて、がん細胞を用いた抗癌活性試験を行った。興味深いことに、いくつかの化合物は、正常細胞には、ほとんど細胞毒性を示さず、がん細胞のみに細胞毒性を有することを見出した。現在、構造活性相関を検討中である。このようにして見出されたがん細胞に特異的に細胞毒性を示す化合物に着目した標的タンパク質同定にチャレンジしている。当該トリテルペノイドの側鎖のカルボキシル基と、ナノ磁性ビーズとをリンカーを介して結合させる。本プローブを用いて、標的タンパク質の同定にむけた準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、未だ標的生体分子が明らかになっていない霊芝トリテルペノイドの標的生体分子の同定にチャレンジしている。霊芝トリテルペノイドは、100種以上報告されており、それらは、前立腺肥大症、骨粗鬆症、癌等多岐にわたる疾患への有効性が知られている。しかしながら、その作用機構は不明であり、未発見新規機能性の存在も示唆されている。本研究では、霊芝トリテルペノイドの新規標的生体分子を明らかにすることを目的とする。本年度は、当初の予定どおり、霊芝トリテルペノイドに含有されているトリテルペノイド類を32種類網羅的に単離した。具体的には、クロロホルム抽出物から各種クロマトグラフィー分画を経て、単離し、NMR、MSで同定した。さらに、得られた一連の化合物を用いて、がん細胞を用いた抗癌活性試験を行った。興味深いことに、いくつかの化合物は、正常細胞には、ほとんど細胞毒性を示さず、がん細胞のみに細胞毒性を有することを見出した。現在、構造活性相関を検討中である。このようにして見出されたがん細胞に特異的に細胞毒性を示す化合物に着目した標的タンパク質同定にチャレンジしている。当該トリテルペノイドの側鎖のカルボキシル基と、ナノ磁性ビーズとをリンカーを介して結合させる。本プローブを用いて、標的タンパク質の同定にむけた準備を進めているところである。次年度に繋がる研究成果が蓄積されており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、数種類の霊芝トリテルペノイドに、癌細胞特異的な細胞毒性が見出されている。標的タンパク質を見出すための重要なポイントは、プローブの設計である。どのようなプローブを設計すればよいかが重要であるが、そのためには、霊芝トリテルペノイドのどの部分が、当該活性への関与が大きいかを事前に明確にしておく必要がある。今年度は、構造活性相関を明確にし、プローブ設計のためのヒントを入手する。その後、本知見を用いてプローブを合成し、ガン細胞の各種細胞分画物を用いて、標的タンパク質の同定にチャレンジする。もし、明確なバンドが観察されなければ、プローブとタンパク質の結合実験の際に、プローブに結合させた化合物を共存させる競合実験を実施することにより、選択的な標的タンパク質の情報を入手し、標的タンパク質の候補を絞る。本アプローチを行うことにより、本研究の最終目的である標的タンパク質同定がなされるものと考えている。
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