研究課題/領域番号 |
26660151
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向井 徹 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (60209971)
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研究分担者 |
澤田 浩一 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, 研究員 (30372080)
山本 潤 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (10292004)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 魚群探知機 / 動物プランクトン / 浮遊状態 / 海洋トワイライトゾーン / 音響散乱 |
研究実績の概要 |
音響手法を用いて生物のサイズや量を推定するときのスケールファクターである音響反射率の測定を,研究分担者が所属する水産工学研究所にて行った。主に,ヤムシ類とタンキャク類の測定を行う予定であったが,本年度はカイアシ類について行った。カイアシ類の音響反射は過去に測定しているが,体内に大量の油を持つ個体の測定例が少なく,この油により音響反射が大きく変化するため,その影響を詳細に調べるために行った。その結果,油の量が多くなると音響反射も大きくなることが明らかになりつつある。これについては今後音響散乱モデルにより検証していく。また,ヤムシ類とタンキャク類については,年度末の航海にて生きたサンプルが手に入ったため,年度をまたいで4月に測定を行う予定である。 一方,光学的手法により動物プランクトンの種やサイズや浮遊状態(姿勢など)を知るために,汎用のデジタルカメラ(インターバル撮影機能付き)と外部フラッシュを用いたシステムを試作した。今年度は100m程度での撮影に主眼を置き,撮影方法の検討を行った。しかし,まだカメラの設定を確定することができず,これについては今後も検討していく。大深度で使用する特注の耐圧ハウジング(目標500m)の試作もほぼ終え,翌年度の試用に備えている。カメラの設定などを早急に決定し,トワイライトゾーンに生息する動物プランクトンの明瞭な画像を得るためのカメラシステムの開発を進めていく。さらに画像からの種判別やサイズ測定,姿勢測定を行うプログラムの作成を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度測定予定だったヤムシ類とタンキャク類の測定が来年度になった。 大深度で使用するカメラシステムおよび画像からの種判別やサイズ測定,姿勢測定を行うプログラムの作成が完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
ヤムシ類とタンキャク類の音響反射測定を早急に行うとともに,両種の生体密度・体内通過音速を測定し,音響理論モデルにより音響反射特性を推定する。そして,実測値と比較することでその妥当性の検証を行う。そのうえで,今までに測定したオキアミ類およびカイアシ類と併せて日本を代表する4種類の動物プランクトンの音響反射特性を明らかにし,大きさLと波長λとの比(L/λ)や種によってどのような特性があるかを調べる。 カメラシステムの完成を急ぐ。実際にフィールドで使用しながら改良を加えていく。そして,層別採集プランクトンネットとの組み合わせで画像データと生物データの比較を行い,カメラシステムで計測されるデータの妥当性を検証する。また,音響データと生物データ,画像データの比較が比較的容易にできるような解析パッケージの開発(ソフトウェア)も併せて行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海洋トワイライトゾーンに生息する動物プランクトンの種類やサイズ,浮遊状態を観察するためのカメラシステムの構築が遅れているため,購入予定であった画像処理ソフトを次年度に購入することとしたため。また,動物プランクトンの音響反射測定の回数が減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記カメラシステムの構築ならびにそれで得られた画像から種類やサイズ,浮遊状態(姿勢)を判別するための画像処理ソフトの構築のためのソフトウェアや消耗品の購入費にあてる。そして,実海域での試用を行うための出張費に充てる。
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