本研究では、深海堆積物環境中の可動性遺伝因子プラスミド集団の全体像を明確化した。東北沖水深500 m下の表層堆積物サンプルより抽出した全プラスミドDNAに対して網羅的メタゲノム解析を行った。その結果、プラスミドメタゲノム配列ライブラリー中より、フィルミクテスやデルタ・ガンマタイプを含むプロテオバクテリアに関連する配列が主に検出された。これらの遺伝子配列の多くは、糖・アミノ酸・エネルギー等の代謝関連をはじめ、翻訳、シグナル伝達、膜輸送に関与する遺伝子をコードしていた。以上の結果から、プラスミドが多様な深海底生細菌群集内での遺伝子伝播および生物機能の強化に重要な役割を果たすものと考えられる。
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