近年、シロザケ(以下サケ)の産卵場の保全が急務とされているが、産卵状況を現地観測で把握するには限界があった。産卵場には冬の渡り鳥であるオオワシが飛来し、サケを採食することが知られている。本研究では、サケの捕食者であるオオワシの分布や採食の情報を野外で収集し、餌場であるサケの産卵場の位置や規模を推定する技術を考案した。鳥個体を対象としたレーダー追跡や河畔の植物に含まれる炭素・窒素の安定同位体比を用いた手法を統合して検証した結果、オオワシと植物の安定同位体比の分布パターンはサケの産卵個体数や分布範囲によって変化することが明らかとなり、両者はサケの産卵状況を示す有効な指標になると考えられた。
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