研究課題/領域番号 |
26660162
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
児玉 圭太 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (90391101)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食性 / 生活史初期 / ペプチド核酸 / 甲殻類 / 底棲魚介類 / 東京湾 |
研究実績の概要 |
シャコの生活史初期個体を研究対象とし、捕食者であるシャコの遺伝子増幅を阻害するペプチド核酸を利用した未知の餌生物の種組成を推定する手法の開発を行った。多数の真核生物群の情報が利用できる28S rDNAを解析対象遺伝子として、様々な生物分類群のDNAを増幅するユニバーサルプライマー、およびホスト生物(シャコ)のDNA増幅を特異的に阻害するためのPNAプローブを数種類設計し、DNA増幅および阻害が有効に行われるユニバーサルプライマーとPNAプローブの組合せを決定した。東京湾においてシャコの棲息場所に存在し餌となり得るプランクトン、ベントスおよび底棲魚介類の計15種をそれぞれプランクトンネット、採泥器、および底曳網により採集した。これらの生物試料についてユニバーサルプライマーを用いて28S rDNAの解析領域をPCRにより増幅し、クローニングを行い各生物種の塩基配列を決定した。2014年11月に当歳の稚シャコを底曳網により採集し、併せて想定される餌生物であるマクロベントスも採泥器により採集した。現在、シャコ幼生および稚シャコの消化管内容物についてPNAを用いたPCR法により28S rDNAの塩基配列解析を行っているところである。今後は塩基配列解析により推定された餌生物種と、東京湾で採集されたマクロベントスの種組成、密度の情報を照合し、PNAを用いたPCR法の有効性を検討するとともに、稚シャコの餌選択性等について推定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユニバーサルプライマーおよびペプチド核酸を用いたPCRにより、捕食者(シャコ)の遺伝子増幅を抑えつつ捕食者消化管内の餌生物の遺伝子を増幅することができた。フィールド調査を予定通り実施し、解析に供するための生物試料を採集できた。
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今後の研究の推進方策 |
餌生物種推定結果を検証するための飼育実験系構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究において用いる生物試料を、当初予算に計上していた傭船調査ではなく、別の乗船調査にて採集することができたため、傭船調査費が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
得られた生物試料を用いて餌生物の遺伝子情報を最大限に得るため、試料処理のための試薬購入および遺伝子塩基配列の解析に使用する。
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