研究課題
【目的】原核生物と真核生物をつなぐ形態を有する生物は見つかっていないので,進化の過程において既に淘汰されてしまったか,あるいは,採取困難な場所に生息しているか,であろう。本研究は,後者の可能性を見込み,深海底から採取した微生物を用いて当該生物を見出すこと,さらに,当該生物の単離において極微小領域を摘出可能な実験手法(改良型レーザーマイクロダイセクション法)を新規に構築すること,を目的とした。【方法】伊豆・小笠原諸島の水曜海山付近の深海底は生物の多様性が比較的乏しいことから,当該生物が存在する可能性も少なからずあると考え,2007年5月に海洋研究開発機構による深海底調査(NT-07-08)を行い,深海ウロコムシ,イソギンチャク,ヒバリガイの採取を行った。採取後,船上にてグルタルアルデヒドによる電顕観察用固定,凍結切片用固定,ならびに生化学的解析用の凍結サンプルを作成した。これらのサンプルを用い,透過型電子顕微鏡観察による網羅的なスクリーニングを行った。また,これらのサンプルは,保存期間などを考慮すれば,ホモジナイズ,遠心分離などによる通常の生化学的手法での目的物の単離は困難であることから,レーザーマイクロダイセクション法(LMD法)を用いることとしたが,既存のLMDの精度を上回るシステムを構築するべく,既製品とは波長の異なる深紫外領域のレーザーを利用した。さらにコストのかかるフィルム圧着式の回収法ではなく,市販のガラスキャピラリーを利用した。【結果および考察】電顕観察によるスクリーニングにより,深海ウロコムシにおいて,核膜構造が不完全かつミトコンドリア様の構造を併せ持つ微生物を見出した。深紫外領域のレーザーを利用して,1μm径以下の極微小領域をも容易に切削可能なLMDを開発した。また,ガラスキャピラリーの毛細管現象で一気に多くのサンプルを回収するシステムを構築した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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