研究課題/領域番号 |
26660179
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 講師 (00595613)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オイル産生藻類 / Botryococcus braunii / 有性生殖 / 交配育種 / バイオ燃料 / 微細藻類 |
研究実績の概要 |
脂質や炭化水素などのオイル成分を作る微細藻類はカーボンニュートラルな次世代燃料となることが期待されている。これまでオイル含量の高い株、増殖速度の早い株、薬剤耐性がある株などが突然変異育種や野生株のスクリーニングによって国内の研究者によって単離されている。今後は、これらの有用形質をあわせもった超優良株の作出が実用化に向けて要求されている。しかしながら、オイル産生藻類では遺伝的に異なる株を交配させるための有性生殖の仕組みが分かっていないものが多く、実用化や研究展開を妨げる一つの障壁となっている。そこで本研究は、炭化水素を作るオイル産生藻類Botryococcus brauniiを材料とし、今までのところ本種では報告のない有性生殖の実態解明を目的とした。初年度は、実験材料とするため、日本各地の湖沼からB.brauniiの野生株を数十株単離した。また、国際的な基準株の一つなっているshowa株を使い、フローサイトメーターを使って1細胞あたりのDNA量を測定するための方法論の検討を行った。これは、有性生殖が起こった場合、通常の細胞よりもDNA量が倍加した細胞(接合子)が発生することが予測されるためであり、これを定量的に調べる方法論を開発するためである。栄養素欠乏などのいくつかのストレス条件に置かれた場合に、showa株の細胞集団の中から、DNA量の変化した細胞が発生するかどうかをフローサイトメーターを使って調べた。フローサイトメーターによるDNA量の測定は、予測されたよりもバックグランドが高く精度が悪かったこともあり、目的としていたようなDNA量の変化を引き起こす培養条件を特定することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フローサイトメーターを使ったDNA量の変化を調査する手法は、当初想定していたよりも、バックグランドの誤差が多く、稀な確率で発生する可能性のある細胞を高感度に検出することが難しいと考えられたため。
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今後の研究の推進方策 |
フローサイトメーターによるDNA量の分析手法を改良してより高感度に検出できるようにする。有性生殖に関わる遺伝子の単離など、別手法による検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度は、すでにある設備を使った実験と、フィールド調査や学会での情報収集を中心に行ったため、当初予定していたよりも支出額が低く抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の進行状況にあわせて、必要となる設備備品なども購入する計画である。
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