研究課題/領域番号 |
26660184
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
遠藤 愛子 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (70721223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行政界 / 沿岸域総合的管理 / 水産政策 / 海洋政策 / 国際情報交換 / 米国:ドイツ:フィリピン / GIS |
研究実績の概要 |
本年度は主に、以下の2点を実施した。第1に、何故、日本の海域に行政界が存在していないのか歴史的背景を確認するための材料として、瀬戸内海に位置する山口県、福岡県、大分県、兵庫県の県境をめぐる漁業問題を、文献レビュー、資料収集、関係者に対するヒアリング調査により確認した。具体的には、日本海(山口県・島根県)、周防灘(山口県・福岡県・大分県)、伊予灘(山口県・愛媛県・大分県)、西部伊予灘(山口県・愛媛県・大分県)、響灘(山口県・福岡県)、安芸灘(山口県・広島県)、筑前海(福岡県・佐賀県・長崎県)、玄海・松浦海水域(福岡県・佐賀県)、唐津湾(福岡県・佐賀県)、筑肥漁場(福岡県・佐賀県)、壱岐・対馬東方海域(福岡県・長崎県)、長崎県対馬島・福岡県沖ノ島海域(福岡県・長崎県)、有明海(福岡県・佐賀県)、豊後水道(大分県・愛媛県・宮崎県)等それぞれの海域における、連合海区漁業調整委員会に基づく協定書や覚書等より、協定者、調整が必要な漁業種、調整内容等を確認した。 第2に、諸外国の海域の行政界の有無について、フィリピン、ドイツ、米国における海域管理の現状、行政界設定の有無、および境界問題等について、文献レビューを実施するとともに、それぞれの現地において、資料収集、および関係者に対するヒアリング調査を実施した。 上記の調査研究により、既に海域に行政界が設定されているドイツや米国と違って日本の沿岸域では、高齢化・担い手不足が進行しているとはいえ、多種多様な小規模沿岸漁業活動が行われていることが、海域に行政界をこれまで設置してこなかった事実に大きく関係している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他業務、他研究および科研調査に対する時間配分を計画どおり実施することが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、第1に、引き続き近代法が整備される前の明治期以前と、明治期以降の、水産・漁業、海洋環境の保全、海運・港湾、海底資源・エネルギー開発、海洋の安全保障等のそれぞれ各分野の政策をレビューすることで、明治期以降、各分野の法制度が整備されていく過程で、海域に行政界が置かれなかった背景や、総合的な海洋・沿岸域政策の実施が遅れた理由を解明する。第2に、引き続き、諸外国の海域の行政界の有無、及び海洋・沿岸域政策を、文献レビュー、現地における資料収集および関係者に対するヒアリングにより明らかすることで、何故、日本の海域に行政界が存在していないのかさらなる考察を加える。第3に、全国の共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権等の沿岸域で行われている漁業権漁業区域と、沖合域で行われている県知事許可漁業の操業区域を、全国漁業協同組合連合会、県漁業協同組合連合会、各漁業協同組合より、デジタル地図及び紙地図を入手し、GISを用いてマップを作成することで、漁業活動における、都道府県境や、都道府県水域をあきらかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
他業務、他研究および科研調査に対する時間配分を計画どおり実施することが困難であったため、計画通りに科研費を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、第1に、昨年度に引き続き海域に行政界が置かれなかった背景や、総合的な海洋・沿岸域政策の実施が遅れた理由を解明する。第2に、昨年度に引き続き、諸外国の海域の行政界の有無、及び海洋・沿岸域政策を明らかすることで、何故、日本の海域に行政界が存在していないのかさらなる考察を加える。第3に、全国の共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権等の沿岸域で行われている漁業権漁業区域と、沖合域で行われている県知事許可漁業の操業区域マップを、GISを用いて作成する。以上3点を実施することで、科研費を計画通り使用する。
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